紅花こうか
くれなゐに ころもそめまく ほしけども
きてにほはばか ひとのしるべき(衣を紅色に染めようと思うけれども、それを着たら目立ってしまい、人の知るところとなりましょう)
[くれなゐは女性を例えたものとか・・・また、紅色の衣を着ると「秘密の恋をしているのでは」という人の噂になりそうです、という解釈もあります]【万葉集~柿本人麻呂~】
キク科の植物である紅花(こうか)は、日本ではベニバナ、くれない、という名前で親しまれています。梅雨前に黄色の花を咲かせ、次第に橙紅色に変わっていく様は、誠に美しく、古くから染料・化粧品の材料・食用・薬用に、と愛されてきました。季語は夏です。
紀元前2500年前のエジプトのミイラの着衣に、紅花(こうか)から作られた染料が発見されていますので、紅花(こうか)はエジプト原産と思われます。そして飛鳥時代の頃にシルクロードを経て日本に伝えられたといわれています。
生薬としての紅花(こうか)は、花冠を乾燥させたものを用います。体を温める温性で、活血化オ(かっけつかお)、通経、消炎鎮痛の作用があり、生理に血の塊が混じる場合や、生理痛、打撲の腫れや痛み、子宮内膜症などの慢性の痛み、やけど、更年期障害などに用いられます。
末梢の血管の血流を改善して、血流の悪さによる病全般を解決に導いていくので、応用としては、高血圧・狭心症・静脈血栓症・高脂血症・動脈硬化・糖尿病・脳梗塞を改善する際に、他の生薬と組み合わせて用います。