阿膠アキョウ
生薬でコラーゲンといえば阿膠(あきょう)がまず挙げられるでしょう。
阿膠(あきょう)は、ロバの皮から毛を取り、煮て作られた膠(にかわ)のことです。
山東省西部の東阿県の水で作られたものが優れていたため、優秀な膠=阿膠(あきょう)と呼ばれるようになったそうです。膠(にかわ:動物や魚の骨や皮を水で煮て加工したゼラチン)は、5000年以上前から古代エジプトで接着剤として利用されていたといわれています。
膠(にかわ)=コラーゲンは人間のたんぱく質のおよそ30%を占めており、人工血管や人工皮膚、人工臓器にも活用されています。
日本では鯉にコラーゲンが多く含まれていると古くから知られており、
『鯉(こひ)の羮(あつもの)
食ひたる日は鬢(びん)そそけずとなん。
(鯉を食べた日は髪が乱れないといいます)膠(にかは)にも作るものなれば、
ねばりたるものにこそ。
(物と物をくっつけるにかわの材料になるものだから、粘りがあるのでしょうか)』~ 徒然草(兼好法師著)第118段より ~
美容にコラーゲンが良い、と云われ始めたのはごく最近ですが、細胞と細胞をくっつける役割のあるコラーゲンは25歳くらいから体内での生産が落ち込み、少しづつ減少していき、しわ・たるみ・かさつきの原因となります。
若さを保つコラーゲンの美容特性を知ってか、かの小野小町も鯉や熊の掌を好んで食していたという記(玉造小町壮衰書たまつくりこまちそうすいしょ:平安時代)が残されています。
生薬としては、体に潤いを与える補陰薬(ほいんやく)として用いられています。
補血(ほけつ)
血の不足、血の質の向上などに用いる。
止血(しけつ)
生理量が多すぎる時、血尿などの出血証に用いる。
滋陰潤燥(じいんじゅんそう)
呼吸器を潤し、空咳・血痰、手足のほてりやからだの芯からの熱感に用いる。