黒蟻くろあり
『ファーブル昆虫記』の称で親しまれているジャン・アンリ・ファーブル著『昆虫記』で蟻は「グランドピアノを顎で支えた状態で2Kmを全力疾走するくらいのちからもち」と説明しています。
蟻はおよそ一億年ほど前に、空へ向かったハチと地上へ向かったアリに分かれた、と言われており、ハチ目スズメバチ上科アリ科に属する昆虫です。
古人は、小さな体で自分の体重の50倍もの大きな食べ物を運ぶことの出来るアリのパワーに注目し、様々な検証を重ねてきました。紀元前17世紀頃の殷(いん)では祭祀品に、その後の周の時代には貴族に食べられていたことがわかっています。現在では以下のような特徴があることがわかっています。
免疫力を調整する
免疫力が亢進している(花粉症やアレルギー、リウマチなど)時はこれを抑え、不足している時はこれを補い、免疫バランスを整える作用が確認されています。抗炎症・鎮痛
リウマチなどによる炎症や痛みの改善に優れており、腰痛やひざ痛、関節痛などにも応用できます。肝機能を補う
亜鉛を豊富に含有している蟻の低下した肝機能を補う作用も注目されています。肝炎だけでなく、肝機能低下による疲労倦怠感や食欲不振、精神不安、不眠といった症状の緩和に役立っています。アンチエイジング
胃腸や肝臓の働きを高めて代謝を促し、人間が本来もっている生命力を活発にしてくれるアンチエイジング効果が期待されています。
また、ホルモンの分泌を活発にすることから、性機能増強(強精)の良い結果も報告されています。
日本では食卓にのぼる事はない蟻ですが、実はインド・中国・東南アジア・アメリカ・中南米・メキシコ・ヨーロッパ・オーストラリア、世界中でお菓子やジャム、清涼飲料水、炒め物、スープ、カレーなどなど食用としてポピュラーな存在です。
血液中の白血球を増やして免疫力を活性化したり、胸腺や脾臓等の免疫バランスを調整するだけでなく、インターフェロンを誘発することも昨今の研究で明らかになってきました。
また蟻は胸部から抗生物質を分泌しており、ブドウ球菌などの病菌やウイルスを抑制することもわかってきました。
これからも蟻の秘めたパワーがもっともっと解明されていくことでしょう。