枇杷葉びわよう
枇杷はバラ科の常緑高木です。乾燥する季節になると「びわを食べなさい」と祖父母から教えられたりしますが、咳を鎮め、のどを潤す作用は一般的に知られています。
枇杷はもともと「大薬王樹」と呼ばれ、実にも葉にも種にも根にも素晴らしい作用があるといわれています。
この枇杷の葉のしっかりしたものを採取し、タワシなどで毛を丹念にとりながら水洗いした後、乾燥させたものが枇杷葉(びわよう)という生薬になります。
江戸時代には、江戸や大阪で『本家天満難波橋朝田枇杷葉湯・・・』と、枇杷葉湯(びわようとう:枇杷葉、肉桂、霍香、莪述、呉茱萸、木香、甘草を合わせて煎じたお茶)が暑気あたりや下痢の薬用茶として売られていた様は、夏の風物詩であったようです。
枇杷葉の使いみちには色々ありますが、小さなお子さんをもつママたちによく知られているのが「枇杷エキス」なるものです。
「枇杷エキス」は、広口のビンに焼酎を入れ、その中に、2cm幅に切った枇杷の乾燥葉を加え、一ヶ月ほど漬け込んだエキスです。虫さされ後のかぶれや湿疹、あせも、打ち身、軽い火傷などによく効くとのことです。
子供の体はデリケートなので、なるべく自然のもので治したいというお母さんたちが増えているようです。
枇杷葉は、トリテルペノイド、アミグダリン(ビタミンB17)、クエン酸、ビタミンE等を含有しています。
アミグダリン(ビタミンB17)そのものには毒性はありませんが、アミグダリンは青酸配糖体の一種ですので、エムルシン(体内に存在する酵素の一種)によって加水分解されると有毒となる場合があります。
但し、果実の熟成によってアミグダリンの濃度も下がっていき、青酸も消失していくので、アミグダリンを含有している梅や杏、枇杷の実の成熟したものを食べる分には問題はありません。
(中毒死には、未成熟の梅を100個~300個必要とするので)中医学では『肺と胃の熱を取って清める』とされています。抗炎症作用、鎮咳作用、平喘作用があるとし、慢性の気管支炎や肺熱による咳嗽、胃熱による吐き気、食あたり、リウマチなどに用いられています。