沙参しゃじん
セリ科の多年草ハマボウフウという植物の外皮を取った根または根茎を乾燥したものが、生薬としての沙参(しゃじん)ですが、日本では浜防風(はまぼうふう)の名前で知られています。沙参(しゃじん)というと日本ではキキョウ科のツリガネニンジンのことを指し、これは中国では南沙参という名前で知られています。
呼称が違うので少しややこしいですが、生薬で沙参(しゃじん)といえば、日本名では浜防風(はまぼうふう)のこと、と理解すれば良いでしょう。
浜防風(はまぼうふう)といえば、海岸の砂地に自生しており、さっと茹でた酢味噌和えや、刺身のツマとして食用されている方もいらっしゃると思います。葉の香りがよく色も美しいので食卓を彩ったことでしょう。
最近では海岸線の開拓や乱獲などにより、その数は減少しているようです。福島県では絶滅危惧II類に指定されています。
沙参(しゃじん)の根や根茎にはクマリン配糖体が含まれていて、去痰、解熱、鎮咳、止渇といった作用があり、防風(ぼうふう)という生薬の代用品としても活用されてきました。沙参(しゃじん)に桑葉(くわよう)・杏仁(きょうにん)・百合根(ゆりね)を加えた処方を桑杏湯(そうきょうとう)といいますが、これはのどの渇きを伴ったなかなか切れない粘りのある痰、乾いた咳などの場合によく利用されます。
また、熱症でからだの潤いが消耗しすぎて口が渇いた時や食欲不振になった時などにも活用されています。
冷え性の方や肩こり・筋肉痛のひどい方は、沙参(しゃじん)の根または根茎の煮出汁を入浴剤としてお風呂に入れると体がポカポカ温まります。漢方薬局で生薬を扱っているお店にご相談いただき、是非お試しください。