鹿の角しかのつの
シカ科満州アカジカ、または満州ジカの幼角です。
鹿の角は、明代の医師、龔廷賢(キョウエンケン)著『万病回春』には「気を益し、陰を滋し、排精・尿血・崩帯に任するに堪えたり」と記されており、中国では長寿不死の神薬といわれています
【性味(性質と味)】 温・甘・鹹
【帰経】 肝・腎
【薬効】 温腎補陽・健脾益気・補腎益精温腎補陽(おんじんほよう)
四肢の冷え、低体温、性機能減退などの改善目的で用いる。健脾益気(けんぴえっき)
消化器系の機能低下による食欲不振、倦怠感、無力感などの改善目的で用いる。補腎益精(ほじんえきせい)
腰膝のだるさ、無力感、耳鳴りなどの改善目的で用いる。
鹿の肉の食用は、北海道では一般的ですね。また、ヨーロッパでもよく食べられており、消費量世界一はドイツで『最上の肉』としてレストランなどでも扱われています。日本人は縄文時代から鹿肉を食べていました。イノシシ=ボタン、ウマ=サクラ、ニワトリ=カシワ、シカ=モミジというこの別名は、殺生をしてはいけない=肉を食べてはいけない仏教色が強かった奈良時代の頃に作られた隠語です。
肉食が禁止されていたけれど、食べたいので「薬を食べているのだ」と(開き直り?)、鹿を食べても「これは紅葉を食べているのだ」ということにしたのでしょうか?
一般人の肉食が許された江戸時代に入ってからも、寺の僧侶の間では相変わらず殺生禁止=肉食禁止、ですがやはり「これはサクラだ」「これはモミジだ」と言いながら、馬や鹿を食していたようです。
牛肉、豚肉と比較すると、エゾシカの場合、カロリーはおよそ1/3、脂質はおよそ1/10、たんぱく質は約2倍、鉄分は約3倍とのことです。
鹿肉を食すれば、体がぽっかぽっかとしてくるのを感じて頂けます。
日本に生息する鹿には、エゾジカ(北海道)、ホンシュウジカ(奈良の鹿公園など)、キュウシュウジカ(四国九州)、ツシマジカ(長崎県対馬)、ヤクシカ(鹿児島県屋久島)、マゲジカ(鹿児島県馬毛島)などがいます。いずれもニホンジカの亜種ですが、成長すると体重100kg強にもなるので、車や電車などとの衝突事故は人間側にも重大な被害を招き、それが大きな理由となってよく狩猟されています。
「鹿の角」として漢方の原料となる赤鹿(アカジカ)は、ヨーロッパや北アフリカ、アナトリア半島などに生息しています。
滋養強壮としてご存知の方も多い鹿の角ですが、最近の日本では、がんの手術後や抗がん剤や放射線治療の副作用防止として見直されているとのことです。
中国では不妊や老化症状、つまりアンチエイジング生薬として非常にポピュラーです。